揺らぎやすい肌と心と体を 整えるセルフケアと植物

自律神経のバランスを整えるには ライフスタイル全体の見直しを

今回は、自律神経と心と体、肌のゆらぎについてお話をさせていただきたいと思います。


自律神経は、意思と関係なく、日中の活動期に優位となる「交感神経」と夜寝る時に優位となる「副交感神経」がスイッチしながら、バランスを保っています。循環器、消化器、呼吸器など、生命を維持するために必要な機能をコントロールしているのが自律神経。


2020年は、心身が揺らがなかった人はいないのでは、と思うほど、窮屈な生活を強いられてきましたよね。誰もが予想していなかった大きなストレスを受けると、自律神経のバランスは非常に崩れやすくなります。 家にいる時間を「おうち時間」として、前向きに捉え、楽しむ風潮も出てきたと思いますが、ストレスを受けていることには変わりありません。

ストレスが強いと、脳の視床下部がダメージを受け、その結果内臓機能が不調に陥り、胃炎や腹痛、過呼吸に陥るなど様々な不調が現れてきます。視床下部は、ホルモン分泌にも関与しているので、ホルモンバランスにも影響が出てしまいます。PMS(生理前症候群)や更年期など様々な関するトラブルも引き起こしてしまう可能性も。 また、交感神経がたかぶり、眠れない日々が続くと、細胞の生まれ変わりがうまくいかずに体だけでなく、肌へも影響を引き起こします。ストレスは必要なものではありますが、あまりにもストレスが大きいと、私たちの生体機能は打撃を受け、メンタルにも深刻なダメージを与えてしまうのです。

改善方法としては、ストレスをできるだけ少なくすること、そしてリラックスする方法を見つけてできるだけ脳を緩めて、心を鎮静させること、適度な運動をして体を冷やさないようにすること、リズムのいい規則正しい生活を送ること、などが挙げられます。
食事の時間、運動の時間、リラックスする時間など、ガッチリ決め込まなくてもいいと思うので、一度見直してみてください。無駄だったこと、本当は自分が望んでいたこと、などこれまでにわからなかったことも見えてくるかもしれません。

国民病となった花粉症には、 予防で先手のケアを

自律神経ですが、最も狂いやすい時期といえば、季節の変わり目。特に冬から春に向けては、変化が大きく、「国民病」と言われている花粉症を発症し、心身ともに揺らぎますよね。花粉のピークは3月頃だと思いますが、その前からハーブなどで予防をするのもおすすめ。ネトルやエルダーフラワーがブレンドされたハーブティーを1日数回飲んだり、抗菌作用の高いティーツリーやユーカリなどを部屋に炊くのもいいでしょう。鼻炎がひどくて、鼻水が止まらないといった症状には、ユーカリの精油をお湯に垂らして、吸引するのも効果的。最初は1、2滴から試してみて、様子を見ながら加減してみて。

また、外出から帰宅した時に、コートなどに着いた花粉をはらうことも忘れずに。今は抗菌スプレーなども多く発売されていますから、上手に活用するといいかもしれません。できるだけ日常生活に支障のないように早め早めのケアを心がけましょう。

そして、この時期は別れの季節でもあり、始まりの季節でもある節目の時期。そういった意味では、心も大きく揺らぐ時だと思います。新しい場所での新しい人との出会い、新しい挑戦。いい意味でのストレスもありますが、新しい環境に慣れるまでのストレスはとても大きいもの。こういう時は、できるだけ無理をしないようにして、休む時はしっかり休んで充電してくださいね。

自律神経のアンバランスに おすすめの香り

 自律神経やホルモンバランスが揺らいだ時におすすめなのが、ジャスミンやイランイランの香り。数々の精油の中では特徴的で強い香りを放つ精油です。2つの香りはどちらとも女性特有の症状に効果が高く、昔から重用されてきました。
ジャスミンは、深く、濃厚な甘さが広がる香り。精神的な面での作用が強いです。酢酸ベンジルを主成分とし、気持ちを高揚させ、鎮静もさせ、不安や不眠、そして性的な問題にもアプローチし、心を満たしてリラックスさせます。古代では催淫を目的に使われ、また、陣痛の痛みを和らげるので、出産時に使われる精油でもあります。 ジャスミンに似た香りを放つのがイランイラン。エキゾチックで甘やかな香りです。ゲルマクレンD、β-カリオフィレン、酢酸ベンジルなどを主成分とし、神経を強壮し、鎮静させる作用があり、落ち込みや不安、イライラなどに効果的です。ホルモンバランスを整える作用があるので、生理前後や更年期の不調などにも有効。最初に蒸留された「エキストラ」は、成分も含め、香りも豊か。香りが強いので、少量使いから始めてみてください。

この2つの精油は、心のモヤモヤ、イライラを鎮めて、心を高揚させてくれるので、メンタル面でのケアや、女性特有の不調に使うのにピッタリ。それぞれで使ってもいいですし、2つの精油をブレンドして、植物オイルに希釈してマッサージするのもおすすめ。
1回分の植物オイルの量としては20〜30くらいを目安に、精油を3、4滴を垂らしてお使いください。強い香気を持っているので、1滴ずつでもいいかもしれません。

精油を混ぜたオイルは、腕やデコルテ、お腹周り、などに優しくなじませてみてください。デコルテは寝る前にマッサージすると、香りが上がってきて心地よい睡眠をいざなってくれます。

肌の揺らぎには一に保湿二に保湿 乾いた部分には重ね付けを

 心と体の揺らぎは、必ず肌にも現れてきます。そのサインを見逃さないように、日頃から気をつけて欲しいのは保湿ケアです。

肌にはバリア機能があって、そうそう肌がダメージを受けることはありませんが、不規則な生活や睡眠不足、紫外線、ストレスなどが原因でバリア機能が低下すると、外的刺激を受けやすくなります。間違ったスキンケアを続けていると、肌の負担になるので、以前もこのコラムでお伝えしたかもしれませんが、洗う、うるおう、まもる、というこの3つのケアをまずしっかり行ってみてください。

肌の内部の油分水分を逃さないこと、循環させて、古い角質をターンオーバーによって排出すること。これが保湿の重要な部分だとお伝えしましたが、季節的に冷えやすく、乾燥しやすい今は特に保湿に重点を置いて。普段の量だと乾きやすい、と感じたら、使う量も加減してみてください。

スチームクリームのトロトロのクリームは、重ね付けにもぴったりの心地いいテクスチャー。全体になじませた後に、乾く部分に重ねてみてくださいね。春はもうすぐそこ!  心も肌も潤わせて、季節の変わり目の揺らぎに準備しておきたいですね。

 

ライター

ウェルネス&ビューティジャーナリスト/植物療法士/アロマデザイナー Wellness&beauty Journalist 久保直子naoko kubo
美容ライター時代に培った膨大な美容の知識をベースに、AMPP(フランス植物療法普及医学協会)認定メディカルフィトテラピスト、DTWフラワーエッセンスプラクティショナー、スポーツアロマテラピストの資格を取得し、メディ アにて独自のウェルネス&ビューティケアを企画&執筆。 その他、様々なプロダクトのコンセプトやアロマデザインを手がける他、二児の母の立場を生かし、性教育啓蒙活動も行う。
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